1.根拠法:
「外商投資方向の指導規定」(2002年2月11日公布・2002年4月1日実施)
2.制限業種等の詳細:
「外商投資産業指導目録」(制限業種および禁止業種の部分)
「産業構造調整指導目録」(淘汰類は外商投資企業に適用)
国家発展・改革委員会、中国人民銀行および銀行業監督管理委員会は共同で「産業政策および貸付政策の調整をさらに強化し、貸付のリスクを管理することの関連問題に関する通知」を公布した。同通知は、生産安全に著しく危害を及ぼすプロジェクト、環境汚染が著しいプロジェクト、工程技術が立ち遅れているプロジェクトを同通知付属文書「当面、低水準の重複建設を抑制する一部業種の目録」に記載し、同目録に記載された禁止類または制限類のプロジェクトについて、投資主管部門は審査認可をせず、各主要国有銀行は貸付をしないとしている。「郵政法」の規定によれば、外国投資者は郵便物の国内速達郵便物業務の投資経営を行ってはならない。
3.制限業種(条件付きで参入可能な領域)
(1)「外商投資産業指導目録」に定める外国投資者の「出資比率」の制限
「外商投資産業指導目録」の制限業種への投資については、原則として外資100%は認められないが、「外商投資方向の指導規定」および「外商投資産業指導目録」の規定および中国政府の公布する特別法に定める「投資条件」に合致する場合、外国投資者は中国において投資することができる。
「外商投資方向の指導規定」に基づき「外商投資産業指導目録」では、外商投資プロジェクトについて「合弁・合作に限定」、「中国側持分支配」、「中国側の相対的持分支配」という条件を定めることができる。「合弁・合作に限定」とは中外合弁または中外合作経営のみが認められることを指し、「中国側の持分支配」とは中国側投資者の外商投資プロジェクトにおける出資比率の合計が51%以上であることを指し、「中国側の相対的持分支配」とは中国側投資者の外商投資プロジェクトにおける出資比率の合計が外国投資者のいずれかの出資比率を上回ることを指す。外国投資者は、上記の制限に合致すれば中外合弁企業等の形態で当該制限業種に投資することができる。但し、制限業種に対するその他の制限条件については特別法の規定に従わなければならない。なお、外国企業又は個人は、パートナーシップ企業の形態で、「外商投資産業指導目録」で「合弁に限定」、「合作に限定」、「合弁・合作に限定」、「中国側の持分支配」、「中国側の相対的持分支配」、「外資比率」の記載のある、奨励類及び制限類のプロジェクトに投資することはできない。
(2)特別法の規定に基づく「その他の制限条件」
中国政府国務院および各業種主管部門が制定する特別法に「制限業種」の具体的条件が定められている。原則として「制限業種」について外資100%は認められないが、「特別法」に定める投資条件に合致すれば「制限業種」に投資することが可能である。以下いくつか例を挙げる。
[1]重要生産資料の生産と採掘(特殊鉱物の採掘など)
「外商投資希土類業種管理暫定規定」は、希土類業種の外商投資プロジェクトを鉱山、製錬・分離、再加工・応用の3つに分類し、具体的製品のリストを定めている。外国投資者による希土類鉱山企業の設立を禁止し、希土類の製錬・分離を合弁・合作に限定している。希土類業種の企業の類型ごとに異なる外資参入条件を定めている。
[2]サービス業(一部の流通業、金融保険業、貨物運送業などを含む)
「外商投資商業分野管理規則」は、販社としての卸売りおよび小売りを営む外商投資商業企業(チェーン店を含む)の外国投資者の出資比率、外国投資者の資格要件、中国投資者の資格要件、設立の地理的制限、資本金の最低限度額などの投資条件を定めている。
「外商投資非商業企業の販売(※参照)の経営範囲増加に関連する問題についての通知」は、外商投資非商業企業は「外商投資商業分野管理規則」に基づいて販売の経営範囲の追加を申請することができると定めている。
「自動車金融会社管理規則」は、自動車金融会社の参入資格について、出資者のうち少なくとも1名の出資者は、5年以上の豊富な自動車金融業務の管理・リスクコントロール経験を有する者であることを定めた。また、非金融機構の出資者の直近1年の資産規模が従来の40億元から80億元に、年間営業収入が従来の20億元から50億元に引き上げられた。
[3]国民経済にとって重要な製造産業(自動車およびオートバイの完成車の製造などを含む)
自動車の完成車の製造は、「外商投資産業指導目録」によると許可類であり、出資率は外資50%を超えてはならない。また、「自動車工業産業政策」は、自動車及びオートバイの完成車の製造の出資比率、外国投資者の資格要件、技術的価値及び要求の制限、合作の中国投資者の数量制限等の投資条件を定めている。
[4]不動産業
「不動産市場の外資参入及び管理の規範化に関する意見」において、国外機構及び個人が中国国内において私用でない不動産を投資購入する場合、商業拠点の設置の原則に従い、外国投資家による不動産投資の関連規定に基づいて、外商投資企業の設立を申請しなければならず、しかも、外商投資不動産企業の投資総額が1000万米ドル(1000万米ドルを含む)を超える場合の登録資本は投資総額の50%を下回ってはならないことが初めて明確に規定された。「外国投資家の不動産業への直接投資の審査認可及び監督管理のさらなる強化、規範化に関する通知」は、外国投資家が投資して不動産会社を設立する場合、まず土地使用権、不動産建築物の所有権を取得するか、又は土地管理部門、土地開発業者/不動産建築物の所有者と、土地使用権もしくは不動産の払下/購入の予約に関する協議書を締結しなければならないことを定めた。
外国投資者は、その投資する業種の中国政府業種主管部門に当該業種への投資にかかわる特別法の提供を請求するとよい。
「中外合資経営企業法」(合弁企業法)および実施細則に基づく合弁企業は、外国投資者の出資比率が25%以上。
「中外合作経営企業法」(合作企業法)および実施細則に基づき、法人資格を取得した合作企業の外国投資者の出資比率は、登録資本金の25%以上。
外国投資者の出資比率が25%を下回る場合、法律、行政法規に別途規定がある場合を除き、いずれも現行の外商投資企業設立の審査認可及び登記手続に従って審査認可と登記を行わなければならない。外商投資企業審査認可機関の審査に合格した企業には、「外商投資企業認可証書」が交付されるが、「外商投資者の出資比率が25%を下回る」と注記される。外国投資者の出資比率が25%を下回る外商投資企業については、法律、行政法規に別途規定がある場合を除き、その投資総額の範囲内で輸入する自社用設備、物資は税金減免の待遇を受けず、その他の徴税についても外商投資企業の待遇を享受しない。
1.現地法人の種類
現地法人には合弁企業、合作企業、独資(100%)企業がある。
(1)合弁企業
中国側と外国側の共同出資による法人。
(2)合作企業
中国側と外国側の共同事業で、法人格のある企業と法人格のない企業の設立を選択できる。
(3)独資企業(100%外資)
外資企業法および実施細則に基づく外国側100%出資による法人。
2.出資比率による制限
規制業種には、独資企業を認めないもの、出資比率により認めるものがある。
(1)「外商投資産業指導目録」に定める外国投資者の「出資比率」の規制
「外商投資方向の指導規定」に基づき「外商投資産業指導目録」では、外商投資プロジェクトについて「合弁・合作に限定」、「中国側持分支配」、「中国側の相対的持分支配」という条件を定めることができる。「合弁・合作に限定」とは中外合弁又は中外合作経営のみが認められることを指し、「中国側の持分支配」とは中国側投資者の外商投資プロジェクトにおける出資比率の合計が51%以上であることを指し、「中国側の相対的持分支配」とは中国側投資者の外商投資プロジェクトにおける出資比率の合計が外国投資者のいずれかの出資比率を上回ることを指す。
(2)特別法の規定
中国政府国務院及び各業種主管部門が業種別に制定する特別法に外国投資者の「出資比率」に対する具体的制限が定められている。
1994年の「自動車工業産業政策」にかわるものとして、2004年5月21日に「自動車産業発展政策」が公布された。新産業政策では、WTO加盟時の中国の約束に基づき、旧産業政策に定められていた外貨バランス、国産化比率及び輸出実績等の要求が削除された。従来の自動車製造企業投資プロジェクトの審査認可制度が改革され、届出及び核準制が実施される。但し、新政策では、自動車完成車、専用自動車、農業用輸送車、オートバイの中外合弁製造企業における中国側持分比率は50%以上とされ、一外国投資者が中国に設立できる同種の完成車製品製造の合弁企業は2社以内に制限されている。なお、2社の制限は中国側が国内の他の自動車製造企業を合併する場合には適用されない。
2005年7月20日、国家発展改革委員会は「鋼鉄産業発展政策」を公布した。同政策第23条によると、外国投資家による中国鋼鉄産業への投資については、原則として外国側の持分支配は認められない。
2006年12月4日、商務部は、「製品油市場管理規則」を公布した。当該規則第10条の規定によれば、同一の外国投資家が中国国内で製品油の小売経営を30箇所以上(30箇所を含む)のガソリンスタンドで行う場合(ガソリンスタンドの投資建設、持分支配及びガソリンスタンドのリースを含む)において、複数の供給業者の異なる種類、ブランドの製品油を販売するときは、外国側の持分支配は認められない。
2007年8月3日、中国銀行業監督管理委員会は「非銀行金融機関行政認可事項実施規則」を公布し、信託会社、企業集団財務会社、ファイナンスリース会社、自動車金融会社、マネーブローカー会社、国外非銀行金融機関駐中国代表処の設立、変更及び終了、並びに業務範囲の調整及び業務種類の追加の条件等について詳細に規定した。当該規則の要求に合致する国外金融機関、リース会社、企業法人等の出資者は、中国で各種の銀行金融機関を設立することができる。各種の非銀行金融機関を設立する場合、当該規則が規定する各種条件(最低登録資本、規定に合致する会社定款及び適格の関連就業人員の設置等)を満たさなければならない。2010年7月4日より、国外非銀行金融機関駐中国代表処の設立、変更及び終了の審査許可はなくなった。
国務院は、2010年11月26日「社会資本による医療機関の設立運営のさらなる奨励及び指導についての意見に関する通知」を公布した。当該通知に基づき、国外資本による医療機関の設立運営が、従来の制限類から許可類の外商投資プロジェクトに調整された。このほか国外資本の持分比率の制限を順次撤廃し、条件を備えた国外資本が中国国内で独資医療機関を試験的に設立することについても明確に定められた。
(出所:「自動車産業発展政策」国家発展改革委員会(国家発展改革委員会令第8号)2004年5月21日公布、施行。「鋼鉄産業発展政策」国家発展改革委員会2005年7月20日公布。「非銀行金融機関行政認可事項実施規則」中国銀行業監督管理委員会2007年8月3日公布、施行。「行政審査認可項目の取消及び審査認可権限の委譲に関する決定(第5組)」2010年7月4日公布、施行。「社会資本による医療機関の設立運営のさらなる奨励及び指導についての意見に関する通知」2010年11月26日公布。)
3.中国はWTO加盟の約束に基づき2002年から外資に対する規制を段階的に緩和し、外資の投資分野を拡大している。広告企業では外資マジョリティが認められ、2005年12月には独資も認められる。また、2008年10月1日より、外資広告企業の審査認可権限は省級商務部門に委譲される。自動車消費ローンの分野では非金融機関の参入が認められた。自動車金融会社の出資者は2008年1月から中国において1社以上の自動車金融会社を投資設立することができ、かつ2008年1月から自動車金融会社はファイナンスリースを含む新たな業務を行うことができる。外資100%旅行会社の設立が認められた。書籍販売業への参入が認められた。
2005年9月1日以降、外資100%又は合弁の外商マネー・ブローカー(中国語は「貨幣取次」)会社の設立が認められた。条件を満たす外国投資者の中国自動車貿易分野への参入が認められた。2005年12月11日から、外資独資の国際貨物輸送代理企業の設立が認められる。商務部は、2006年3月31日より、建築業企業、印刷企業、建設工事設計企業、道路輸送企業、非船舶運送企業の5種類の外商投資企業の審査認可権を省級商務主管部門に委託した。
2004年4月6日、中国政府の対外貿易経営権等の開放に関するWTO加盟の約束に基づき、全国人民代表大会常務委員会は改正した「対外貿易法」を公布し、投資規制をさらに緩和した。
また、商務部は、2004年6月に「対外貿易経営者届出登記規則」を公布した。同規則によれば、中国において合法的に工商登記を行った経営者は同規則の規定に従って届出登記を行えば、対外貿易経営権を取得することができる。(詳細はPDFファイル参照)2008年10月1日より、全国で、又は省、自治区、直轄市を跨る範囲において基礎電信業務を経営する場合の登録資本最低限度額は10億元、省、自治区、直轄市の範囲内の基礎電信業務を経営する場合の登録資本最低限度額は1億元とされる。
2006年12月11日から外商独資銀行、中外合弁銀行の中国における人民元業務取り扱いの地域制限及び顧客制限を撤廃し、かつ中国国内において設立する外国銀行の支店を当該外国銀行の単独出資による外商独資銀行へと再編することを認めた。(詳細はPDFファイル参照)
2010年6月10日、商務部は、「外商投資審査認可権限の委譲の関連問題についての通知」を公布した。同通知によれば、2010年6月10日から、「外商投資産業指導目録」において総投資額3億米ドル以下の奨励類、許可類、総投資額5000万米ドル以下の制限類である外商投資企業の設立及び変更については、各省、自治区、直轄市、計画単列市、副省級市(ハルビン、長春、瀋陽、済南、南京、杭州、広州、武漢、成都、西安を含む)及び新疆生産建設兵団商務主管部門、国家級経済技術開発区が法に従い審査、管理を行う。
2010年4月6日、国務院は「外資利用業務のさらなる遂行に関する若干の意見」を公布した。当該若干意見によれば、「外商投資産業指導目録」の中で、総投資額(増資を含む)が3億米ドル以下の奨励類及び許可類のプロジェクトは、「政府が審査確認する投資プロジェクト目録」において国務院の関連部門による審査確認を要すると定められているプロジェクトを除き、省レベルの発展改革委員会が審査許可する。
(出所:中外合資経営企業法及び中外合作経営企業法、外商投資広告企業管理規定、自動車金融会社管理規則、出版物市場管理規定、自動車産業発展政策、マネー・ブローカー会社テストケース管理規則、自動車貿易政策、外資銀行管理条例、外商投資電信企業管理規定、旅行社条例、省級商務主管部門と国家級経済技術開発区による一部サービス業外商投資企業関連事項の審査管理に関する通知、外資利用業務のさらなる遂行に関する若干の意見、外商投資プロジェクトの審査確認権限の委譲業務の遂行に関する通知、外商投資審査認可権限の委譲の関連問題についての通知)
1.土地所有権、開発権、使用権について
2.非居住者または外商投資企業の土地所有の可否、手続き、所有・使用年限
3.土地に関する各種制限規定
1.最低払込資本金の一般規定
「会社法」の規定に基づく、有限責任公司の登録資本金の最低限度額は以下のとおり。
(1)有限責任公司……………………………………………………… 3万人民元
(2)一人有限責任公司…………………………………………………10万人民元
2.外商投資企業の最低資本金の一般規定
「外商投資会社の審査認可及び登記管理における法律適用の若干問題に関する実施意見」第1条によれば、外商投資企業の最低登録資本は、上記会社法の有限責任会社の登録資本金の最低限度額が適用される。「中外合資経営企業法」、「外資企業法」および実施細則の規定によれば、独資企業、合弁企業は原則として有限責任公司である。合作企業は、法律に基づき中国法人の資格を取得した場合、有限責任公司となり、その登録資本金には有限責任公司の登録資本の最低限度額の規定に該当する。ただし、実務では、外商投資企業の最低資本金の制限は各地方政府の政策によって異なり、おおむね15万米ドル以上となっている。
3.企業形態・業種別の最低資本金の制限
株券を発行する外商投資株式有限公司の場合、その登録資本については、「外商投資株式有限公司の若干問題に関する暫定規定」の登録資本の最低限度額3,000万人民元との規定が適用される。
(1)外国投資家が投資して設立する投資性会社の登録資本の最低限度額は3,000万米ドルとする。中国政府は外商投資による投資性会社の経営権限およびサービス範囲を拡大した。
(2)商務部は2004年4月16日に「外商投資商業領域管理規則」を公布した。同規則は中国政府の販売サービスに関するWTO加盟の約束に基づき、商業領域における対外開放の地域、スケジュール、業種領域を明確にしたものであり、外国投資者の持分比率が緩和され、企業登録資本および投資者の規模などの規制が廃止された。これにより、2004年12月11日より外商独資商業企業の設立が可能となる。 商務部は2004年11月17日に「外国投資家が投資により投資性会社を設立・運営することに関する規定」を改正公布した。同規定によると、投資性会社は「外商投資商業分野管理規則」の関連規定に合致し、かつ法に従い相応に経営範囲を変更した後、コミッション代理、卸売り、小売りおよびフランチャイズを行うことができる。
4.出資金の払い込み
「中外合弁企業の各当事者の出資に関する若干規定」によれば、出資金の払い込みについては、合弁契約書に出資割合とともに払込期日を明記し、これに従って払い込みを行わなければならない。出資金は一括払込によること(この場合、営業許可証交付日から6ヵ月以内)も、分割払込によることも認められている。分割払込の場合については、「中外合弁企業の各当事者の出資に関する若干規定」及び「外商投資会社の審査認可及び登記管理における法律適用の若干問題に関する実施意見」の規定によれば、外商投資による有限責任会社の初回出資の最低限度額は払込を引き受ける出資額の15%以上を下回ってはならず、また法定の登録資本金最低限度額を下回ってはならず、かつ営業許可証交付日から3ヵ月以内に払い込まなければならず、その残りの部分の出資は会社設立の日から2年以内に払い込まなければならない。
出資の払込後、中国の公認会計士がこれを検査して出資検査報告書を発行し、合弁会社はこれに基づいて出資証明書を出資者に交付する。なお、出資金額が巨額である場合、外商投資企業は審査認可機関の認めた期間内に払い込めば良いものとされるが、原則として分割払込の期間は最長2年を超えることはない。但し、投資性会社は営業許可証交付日から2年以内に3000万米ドルを下回らない出資金を払い込み、登録資本のうち残りの部分の出資金は営業許可証交付日から5年以内に払い込めばよい。期間内に出資を払い込まない出資者に対して、政府審査認可機関及び登記機関は期限を定めて払込を命じることができる。所定の期限までに払い込まない外商投資企業については、審査認可機関はその認可証書を取り消し、登記機関はその営業許可証を取り消すことができる。
上記規定はあるものの、国家工商行政管理局が公布した「工商行政管理職能の役割を充分に発揮し、さらに外商投資企業発展のためのサービス提供業務を推進することに関する若干意見」の規定によれば、すでに第1回登録資本を払い込み、違法記録がなく、資金の一時的不足により期限どおりに出資できない外商投資企業は、審査認可部門の認可を得ることにより出資期限を延長することができるとされた。
5.登録資本金の減額
合弁企業などの登録資本金の減少(減資)は、高い必要性があり、政府機関の認可がある場合のみ可能である。
(出所:中外合弁企業法、中外合作経営企業法、外資企業法、会社法、外商投資株式有限公司の若干問題に関する暫定施行規定、外国投資家が投資により投資性会社を設立・運営することに関する規定、外商投資商業領域管理規則、会社登記管理条例、外商投資会社の審査認可及び登記管理における法律適用の若干問題に関する実施意見、工商行政管理職能の役割を充分に発揮し、さらに外商投資企業発展のためのサービス提供業務を推進することに関する若干意見)
1.出資比率制限
「外商投資産業指導目録」は、外商投資の業種別に外商投資プロジェクトを「合弁・合作に限定」、「中国側持分支配」または「中国側の相対的持分支配」と規定している。同時に、外商投資プロジェクトの投資比率に関する制限規定は、中国が各業種について制定する個別の法律にもみられる。例えば、「外商投資電信企業管理規定」などがある。
2.地域制限
外商投資プロジェクトの地域制限は、保険会社、法律サービス、流通業、電信業などの外商投資プロジェクトの設立地区の制限および業務経営範囲に関する地域制限など、サービス業に多い。国務院およびその部・委員会が制定する業種別の法規には、上記の外商投資プロジェクトの地域制限規定は、具体的には当該業種の主管部門が制定するものと規定されている。例えば「外商投資電信企業管理規定」など。
3. 独占制限
2007年8月30日に採択された「独占禁止法」(2008年8月1日から施行)により、外資による中国企業買収又はその他形式による事業者集中への参与が中国の国家安全に関わる場合、同法に定める事業者集中審査を行い、かつその他関連規定に従い国家安全審査を行なわなければならない。
4.国家安全審査
2011年2月3日に公布された「外国投資者による国内企業の買収に係る安全審査制度の確立に関する通知」により、外国投資者による国内の軍事企業及び軍事関連企業、重点・要注意軍事施設の周辺に位置する企業並びに国防安全にかかわるその他の企業の買収にあたり、実質支配権を外国投資者が取得する可能性のある場合は、買収安全審査を行わなければならない。
5.その他の規制
外貨の借り入れ、外貨での支払いなどは「外貨管理条例」、「外貨の決済、売却、支払管理規定」など、外貨管理に関する諸規定により制限管理される。
2008年5月29日、国家発展改革委員会は系統立った「乳製品工業産業政策」を初めて公布し、外資を有効に利用し、乳製品工業を大いに発展させなければならないと指導した。乳製品工業に参入する出資者について、当該政策は次のとおり限定している。現有の純資産が実施計画する乳製品プロジェクトに必要な資金の2倍以上、総資産が実施計画するプロジェクトに必要な投資総額の3倍以上、資産負債率20%以下、連続3年黒字等である。
2011年10月12日、商務部は「クロスボーダー人民元直接投資の関連問題に関する通知」を公布した。同通知により、外国投資者が合法的に取得した人民元をもって中国へ直接投資することが認められた。但し、商務部門に対する申請書類として、通常必要とされる申請書類の他に、(1)人民元資金の入手源に関する証明書又は説明書、(2)クロスボーダー人民元直接投資情況表を別途提出する必要がある。なお、本通知によれば、特定の業種(ファイナンスリース、外商性投資性会社、外商投資創業投資企業等)に投資する場合には、地方商務部門は、クロスボーダー人民元直接投資情況表を商務部に提出し、商務部の許認可を得た後でなければ、外商投資企業認可証書を発行することができない。
(出所:「外商投資方向の指導規定」、「外商投資電信企業管理規定」、「外資金融機関市場参入関連問題に関する公告」、「独占禁止法」、「外貨管理条例」、「乳製品工業産業政策」、「外国投資者による国内企業の買収に係る安全審査制度の確立に関する通知」、「クロスボーダー人民元直接投資の関連問題に関する通知」など)