貿易外取引の対外支払いは、原則として禁止(個別認可)である。
1.外資企業の貿易外取引における運賃や保険料は、契約正本、運賃領収書と保険費領収書に基づき、外貨口座から支払うかもしくは外貨指定銀行を通して支払う。
2.仲介貿易、立替え費用などによる貿易外取引の外貨支払は、契約書と関連書類に基づき、外貨管理局に申請し、許可を受ける必要がある。
3. サービス貿易において、「サービス貿易取引における対外支払に関わる税務証明書提示に関する通知」(2008年11月)によれば、国内の機関と個人が国外にサービス貿易、収益、経常移転収支と一部の資本取引に関わる外貨資金を3万ドル相当以上(3万ドルを含まない)支払う場合、税務機関の対外支払の税務証明書が必要である。外貨指定銀行は国内機関・個人が提出した『税務証明書』およびその他の有効書類を審査してから対外支払を取り扱う。ただし、外貨管理局の審査対象となる対外支払いについて、外貨指定銀行は外貨管理局の許可書類で取り扱う。
サービス貿易とは、輸送、旅行、通信、建設と労務提供、保険、金融、計算機と情報サービス、特許使用、体育文化と娯楽サービス、その他の商業サービス、政府サービスなどを指す。
収益とは、雇用者報酬、投資収益を指す。
経常移転とは、非資本と地引の寄贈、賠償、税金、偶然性所得などを指す。
一方、以下の費用を国外に支払う場合、税務証明書は要らない。
1)国内機関が国外で生じた旅費、会議費、展示費用。
2)国内機関の国外代表所の業務費、国外で請け負った工事の立て替え金。
3)国内機関が国外で生じた輸出入貿易のコミッション、保険費、賠償金。
4)輸入貿易において国外機関に支払う国際輸送費。
5)国内輸送企業が国外で輸送業に従事する際に生じた修理費、油代、港雑費など。
6)国内個人の国外留学、旅行、親族訪問に使う外貨資金。
7)国が規定したその他の状況。
輸出貿易において外国企業に運送費を支払う場合、契約、外国企業からの領収書、物品引替証と物品引替明細、税務機関の企業所得税・営業税の納税証明書を外貨指定銀行に提出し、審査を経て経常取引外貨口座を通じて支払う。ただし、中国と非二重課税協定、国際輸送収入相互免除協定、海運協定などの協定を結んだ国の国際輸送企業の輸送収入・所得は免税され、納税証明書の代わりに税務機関の免税証明書が必要である。
4.企業の外貨口座から外貨キャッシュを引き出す場合は、使用目的が海外出張経費の支払などに限定され、しかも引出限度は1万米ドルまでである。支払時に有効なエビデンスの提出が必要である。
5.外資企業の外国籍職員が個人で出国する場合、あるいは定住、旅行などで外貨を購入する際、外貨指定銀行に外国人居留証および帰国ビザのある旅券、あるいは外国人出入国証の提出が必要である。
個人が1日1万米ドル相当以下の外貨を現金で引き出す場合は、直接銀行にて行える。1日1万米ドル相当以上の外貨を現金で引き出す場合は、本人の身分証明書と関連証明書類を外貨管理局に事前に提出する必要がある。
個人が1日5,000米ドル相当以下の外貨を現金で外貨預金口座に預け入れる場合には、直接銀行にて行える。1日5,000米ドル相当以上の外貨を現金で外貨預金口座に預け入れる場合には、本人の身分証明書、税関の印章のある申請書もしくは本人が預けていた銀行の現金引き出しエビデンスを持って銀行で関連手続きを行う。
外国人が個人の外貨口座から現金を引き出すには、本人の身分証明書が必要。1人1日につき外貨現金を1万米ドル相当以上引き出す場合、身分証明書の上にさらに「外国人個人外貨收支状況表」を記入しなければならない。
個人の人民元と外貨の両替は、1人につき年間5万米ドルを上限とする。外貨を人民元に両替する際、1人1回につき1万米ドル相当以下の場合、直接銀行にて行える。1人1年につき5万米ドル以上であれば、経常項目の場合、本人の身分証明書と取引関連証明書類を持って、銀行にて行える。資本項目の場合、外貨管理局の審査許可が必要である。
個人が外貨を国外に送金する場合、送金金額が1万米ドル相当以下であれば、本人の身分証明書を持って銀行にて行える。送金金額が1万米ドル以上であれば、本人の身分証明書と本人入国外貨所持申告エビデンスまたは預けていた銀行の現金引き出しエビデンスをもって銀行で行える。
出国する場合、1人当たり5,000米ドル以下の外貨持ち出しは申告が要らない。1万米ドル以下の外貨持ち出しは可能である。
2006年5月1日より、中国人を対象に外貨購入の「年間購入限度額管理」制度が実施される。2007年 2月1日より、1人当たりの年間人民元・外貨の両替購入限度額は5万米ドル相当へと引き上げられ(5万米ドル以下の場合は本人の身分証明書だけで購入できるが、5万米ドル以上の場合は両替必要の証明書類が必要となる)、規制が大幅に緩和された。また、国内住民の外貨購入に対する審査手続きと核銷管理が撤廃された。
2008年8月19日より北京市と上海市が個人の人民元・外貨の両替特許業務のテスト地域として指定されたのに次いで、2009年11月9月よりテストはさらに天津市、江蘇省、山東省、広東省、黒竜江省、浙江省、福建省、広西チワン自治区、海南省、雲南省、新疆ウィグル自治区、および深セン市、青島市、厦門市、寧波市に拡大された。上記のテスト地域では、非金融機関が個人の人民元・外貨の両替を取り扱えるようになっている。
6.北京市、上海市、深セン市でのテストを経て、傘型企業(外資と中国地場企業を含む)に対し、国外の本社や関連会社への外貨送金が認められるようになった。すなわち、[1]外国籍社員の給与、福利厚生費用、[2]商業保険、医療、退職年金など社会保障費、[3]海外出張、海外での各種訓練費用、[4]研究開発費、買付費、マーケティング費など管理費用の分担金などの外貨送金である。対外外貨送金は、外貨指定銀行で手続きをし、外貨口座からの振替か人民元からの外貨購入・送金が可能。このほか、財務状況が良好で経常項目の外貨収支規模の大きい非傘型企業も、外貨管理局の許可を得て対外外貨送金ができる。外貨送金の必要書類は、対外支払い通知、外国籍社員のパスポートと雇用契約書、納税証明書、支払請求通知など、外貨送金の項目によって異なる。
7.中国の機関、個人が外貨収入を中国国内に戻すこともできれば、国外で預けることもできる。