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貿易取引

外貨決済口座、外貨の支払、外貨決済口座の残高制限、外貨計画

1.国内貨幣
『中国人民銀行法』は、中国国内の決済は原則人民元建てであることを規定している。中国国内での外貨流通は禁止されており、外貨決済も不可である。

 

外資企業は国内で人民元を外貨に自由に交換することはできない。外貨を必要とする時は、国家外貨管理局の認可が必要で、対外的に外貨支払を行う場合は、輸出取引等により自ら調整することが求められている。貿易取引の外貨収支には合法的取引の背景が必要である。外貨収入は自ら留保することもできれば金融機関に売ることもできる。外貨支出は有効な証拠をもって、自己外貨資金で送金することも、金融機関から外貨を購入し送金することも可能。

 

2.外貨管理制度

 


為替管理制度-貿易取引 2011年6月20日更新

(1) 外貨口座の開設
外資企業は営業許可証を取得した60日以内に、地元の外貨管理局に外貨基本情報登記を行
う。企業は「登録証」に基づき、銀行で貿易取引(経常取引)ための外貨口座の開設手続を行う。2つ以上の銀行で口座開設する場合、または2つの地域以上で外貨口座を開設する場合は、所在
地を管轄する外貨管理局に許可を申請する。企業の全ての外貨収入と外貨支出は、国内の外貨
口座で行う。


ただし、次の種類の経常取引外貨口座は、特殊入金と指定用途の経常取引外貨口座として管
理される。即ち、①国際請負工事・国際労務の経常取引外貨口座、②国際海運と船輸送代理・貨
物輸送代理の経常取引外貨口座、③国際入札の経常取引外貨口座、④国内の他の機関や個人
への振替ための国外から得た収入の経常取引外貨口座である。


原則として定期預金の作成は不可である。ただし、外貨管理局への個別申請で外貨決済口座
の預入れ限度額内で作成が可能である。


(2) 外貨での支払・受取方法
外貨口座は貿易取引(経常取引)の入出金口座である。外資企業の経常取引の支払は、取引
契約及び外貨管理局の外貨支払許可書に基づき、外貨口座開設銀行を通して行う。口座残高が
足りない場合は、外貨指定銀行で購入する。ただし、90日以上の信用状、90日以上の取立及び
90日以上の着荷で輸入決済する場合、外貨管理局の許可が必要なく、外貨指定銀行に審査され
る後支払できる。荷為替信用状、保証書、取立方式で決済する輸出の外貨は、有効な商業書類
で受け取る。送金方式で決済する輸出の外貨は、輸出外貨受取照合書類で受け取る。
経常項目の外貨収入は、自ら留保することもできれば金融機関に売ることもできる。


(3) 輸出と輸入の「核銷」(突合消し込み)
貿易取引は実需原則に基づく経常項目について、人民元と外貨の交換及び対外送金が自由
である。ただし、輸出と輸入の「核銷」(輸出輸入の通関データと銀行での外貨資金の入出金を突
合消し込みすること)制度により、輸出入とも物の流れと資金の流れを逐一管理する仕組みとなっ
ている。輸出入両方がある場合でも、ネッティングはできない。


輸入貨物は、「外貨支払のできる貿易方式」、「条件つき外貨支払のできる貿易方式」と「外貨
支払のできない貿易方式」の3種類に分けられる。

 

「外貨支払のできない貿易方式」の輸入は、銀行からの外貨購入と「核銷」はできない。輸入は、貨物が通関した後1ヶ月以内に「核銷」の手続を外貨管理局にてする。ただし、商品到着後の支払いの場合は、輸入企業が銀行で外貨支払うと同時に、輸入外貨支払申告と商品到着申告をすれば、外貨管理局の事後審査も経て、貿易輸入外貨支払の核銷は自動的に完成される。輸出は、通関する前に「核銷」の書類をオンラインで税関に提出必要がある。通関後180日以内に代金を回収する見通しの場合、代金回収予定日より30日以内に「核銷」の報告を外貨管理局にする。通関後180日以上に代金を回収する見通しの場合、通関後60日以内に外貨管理局に報告しておいて、代金回収後、「核銷」の手続を外貨管理局にてする。外貨管理局は輸出機関の輸出「核銷」の実績、国際収支申告の状況、貿易方式等に基づき、輸出機関を自動「核銷」、月1回の集中「核銷」、逐次「核銷」の3種類に区別し、「核銷」管理を行う。うち、自動「核銷」は、輸出機関が外貨管理局にて「核銷」の手続をする必要がなく、その手続は銀行とつながる「輸出外貨収入「核銷」システム」によって自動的に行われる。自動「核銷」の機関名録は、国家外貨管理局に決められ、公布される。

 

(4) 輸入商品の受渡前金払いの外貨購入
企業が輸入商品の受渡前金を支払う際、20万ドル以下は国外銀行の信用保証状なしで輸入
契約、輸入外貨支払「核銷」証と領収書等の証明書類をもって外貨指定銀行で外貨を購入できる。
多国籍企業の親会社と子会社の間、または関連会社の間の輸入受渡前金払いも国外銀行の信
用保証状なしで外貨指定銀行で外貨を購入できる。上記2つのケース以外は、輸入商品の受渡
前金を支払う際、必要書類の上にさらに国外銀行の信用保証状も必要である。


(5) 輸出入決済
中国現地法人が輸出入契約を結ぶ際、契約額を人民元建てにできる。ただし、輸出と輸入の
決済は、当日の銀行為替レートに基づき外貨建てで行われる。
国境貿易の場合、契約額と輸出入決済において、外貨建て、隣接国の通貨建て、人民元建て
のいずれもできる。


また、「国内機関の経常取引による外貨収入の自己保有に関する通知」(2007年8月12
日から施行)により、中国現地機関は経営状況に応じて経常取引による外貨収入を限度な
しで保有することができる。


(6) 保税区の外貨管理
保税区内の企業は、法人登記地の銀行で外貨決済口座を原則1つ開設する。預け入れ限度額
の制限はない。


「保税監視管理地区外貨管理方法」(2007年10月1日から施行)によると、保税監視管理
地域(以下は区内と略称)と海外の間の取引は、外貨で決済しなければならない。区内と
中国国内の保税監視管理地域以外(以下は国内区外と略称)の間の貨物貿易における取引
は、人民元あるいは外貨で決済することができるが、サービス貿易に関する取引は、人民
元で決済しなければならない。区内機関の間の取引は、人民元あるいは外貨で決済するこ
とができる。また、区内の行政費用の徴収は人民元建てとなる。


区内の企業は直接海外から輸入する、あるいは区内や国内区外から海外企業の貨物を購
入する際に、外貨口座からあるいは外貨購入によって支払うことができる。また、区内の
企業が海外と輸出契約を結び、しかも貨物が国内区外の企業によって通関される場合に、
区内の企業は海外からの代金を回収してから国内区外の企業に振り替えることができる。
更に、区内の企業が海外と商品の取引を行う際、支払の審査(核銷手続)の必要はない。
外貨管理局の許可を得れば、外国投資者は区内機関清算後の資産を海外に送金することや、
国内で再投資することができる。


(7) 個人の貿易取引における外貨管理
対外貿易経営者登録登記をした個人は、まず税関にて「中国電子港」ネットへの登録を済まし
てから、所在地の外貨管理局で「対外外貨支払い輸入単位名録」または輸出外貨受取核銷登記
手続をしなければならない。それらの手続きを完了後、個人の対外貿易経営者は個人対外貿易
決済口座を開設することができ、同口座から外貨の支払う業務を行う。


個人対外貿易決済口座の限度額は、個人対外貿易経営者の貨物貿易の実際外貨収入の
100%とする。個人対外貿易決済口座の収入支出範囲は、貨物貿易輸出入の外貨取引に限る。
個人対外貿易決済口座は送金形式の外貨現金に限り、外貨キャッシュの預入れと引出しはできな
い。同一個人の対外貿易決済口座と個人貯蓄外貨預金口座との間で外貨資金の振替ができる。
ただし、個人対外貿易決済口座から個人貯蓄外貨預金口座への振替は当日の対外支払いに限
り、人民元に兌換してはならない。


個人対外貿易経営者が貨物貿易取引の代金前払いを支払う際に、1回につき3万ドル以下の
場合、輸入契約、輸入外貨支払核銷証と形式領収書等関連エビデンスをもって銀行にて対外支
払手続きを行う。1回につき3万ドル以上の場合、輸入契約、輸入外貨支払核銷証、形式領収書と
前払い代金保証書をもって銀行にて対外支払手続きを行う。


個人が対外貿易経営活動に従事して、国外から代金を引き受けた場合または国外へ代金を支
払った場合、国際収支統計申告が義務付けられる。


個人対外貿易経営者が技術輸出入とサービス貿易取引を行う場合、その外貨支払業務は、国
内機関の貿易外取引の外貨関連管理規定に従う。個人の資本と金融取引の外貨収支は既存の
外貨関連規定に従う。


外国人が中国国内での経常取引による人民元所得を外貨に両替する場合には、身分証明
書と取引高のあるエビデンス(税務エビデンスを含む)が必要である。残った人民元を外
貨に両替する場合には、身分証明書と関連書類が必要であるが、1日500ドル以下または出
国の日に1000ドル以下の両替は、身分証明書だけが必要である。


中国人が1日5万ドル以下の外貨預金口座の外貨を国外へ送金する場合には身分証明書が
必要で、5万ドル以上を送金する場合には経常取引に関する取引高のあるエビデンスが必要
である。また、中国人が1日1万ドル以下の外貨現金を国外へ送金する場合には身分証明書
が必要で、1日1万ドル以上の外貨現金を国外へ送金する場合には、身分証明書のほかに、
経常取引に関する取引高のあるエビデンス、税関の印章のある申請書もしくは本人が預け
ていた銀行の現金引き出し証票も必要である。


外国人が外貨預金口座の外貨を国外へ送金する場合には、身分証明書が必要である。ま
た、外国人が1日1万ドル以下の外貨現金を国外へ送金する場合には身分証明書が必要で、1
日1万ドル以上の外貨現金を国外へ送金する場合には、身分証明書のほかに税関の印章のあ
る申請書もしくは本人が預けていた銀行の現金引き出し証票も必要である。


(8) 円と人民元の決済協定
東京銀行と中国銀行の間で1972年に調印された。


(9) 輸出前受代金、中継貿易外貨収入
1件20万米ドル以上の前受代金、中継貿易外貨収入については、人民元に両替する前に認可
を取らなければならない。


(10) クロスボーダー貿易の人民元建て決済テスト
2009年7月1日より国務院が指定したテスト地域で、指定企業または条件を揃えた企業が
人民元でクロスボーダー貿易決済をテストで行うことができる。テスト企業は、香港・マ
カオの人民元業務決済銀行または国外商業銀行を代理する中国国内の商業銀行で人民元建
てのクロスボーダー貿易決済をすることができる。


人民元建てのクロスボーダー収支は真実で、合法な貿易取引を必要とし、中国国内の決
済銀行は取引の真実性及び人民元収支との一致性を審査しなければならない。
テスト企業のクロスボーダー貿易の人民元建て決済は外貨ネッティング管理の対象とさ
れず、通関と輸出税減免手続きの際は外貨ネッティング表が要らない。
テスト企業が輸出の人民元収入を国外に留保したい場合は、国内の決済銀行を通じて人
民銀行の出先機関に届けるべきで、かつ人民元クロスボーダー収支情報管理システムに国
外に留保する人民元の金額、銀行、口座番号、用途及び輸出通関番号などの情報を報告す
べきである。


さらに、『クロスボーダー貿易人民元決済試行テストの拡大に関する通知』(2010年6
月17日公布)によれば、クロスボーダー貿易決済可能な海外地域は過去の香港・マカオ、
ASEANから、世界すべての国・地域まで拡大した。なお、テスト地域も過去の上海市、広
東省の4都市(広州市、深セン市、珠海市、東莞市)から、北京市、天津市、内モンゴル自
治区、遼寧省、吉林省、黒龍江省、江蘇省、浙江省、福建省、山東省、湖北省、広西チワ
ン族自治区、海南省、重慶市、四川省、雲南省、チベット自治区、新疆ウィグル自治区、
広東省という20の省・自治区・直轄市に拡大した。対象の業務範囲も貨物貿易からサービ
ス貿易やその他貿易取引に拡大した。


(11) 輸出収入の海外保有管理の試行方法
中国国内企業の資金の利用効率を高め、貿易の利便化を促進するために、2010年10月1
日より、北京市、広東省(深セン市を含む)、山東省(青島市を含む)、江蘇省の4地域で、
企業が外貨収入を海外で保有するテストを1年間で行うことになる。
国家外貨管理局が企業の資格に対し厳格に審査する上で、中国地場企業の海外での口座
開設を許可する。海外で開設された口座は、中国国内企業の合法的な取引で得た輸出収入
の管理、貨物貿易と一部のサービス貿易の対外支出、国家外貨管理局が認可しまたは登録
した資本取引の対外支出に使われる。


国家外貨管理局が中国地場企業の海外保有資金の規模を管理する。また、企業の海外口
座の収支について非現場の監視を実施し、異常な状況がある場合は現場調査を行う。

  

3.外貨計画
外貨取引は一般に外貨計画に基づき行われる。計画全体は外貨管理局により調整され、国家発展・改革委員会によりほかの計画と再調整されてから、国務院により許可される。外貨計画のうち対外貿易、対外借款、対外援助にかかわるものは商務部が作成し、ほかの政府各部門の外貨予算は財政部が作成する。外貨計画のうち、地方政府、各政府部門の貿易外取引、華僑送金などにかかわる部分は、外貨管理局が作成する。