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貨物貿易の外貨管理制度が簡素化−8月1日から全国で実施− (中国)

 

 国家外貨管理局は2012年6月27日付で、「貨物貿易に関する外貨管理制度改革の公告」を発表した。これにより、貨物貿易に関する基本的な外貨管理制度である輸出入照合(核銷)管理制度は廃止され、企業を貿易外貨管理規定の順守状況などに基づきA、B、Cに3分類した管理が8月1日から全国で行われることになった。A類企業に対しては、輸入外貨支払いに必要な証票が簡素化されるほか、輸出外貨受け取りに際してオンサイト照合確認が不要になるなどの利便性の向上が図られる。

貨物貿易における新たな外貨管理制度が確立
 輸出入照合管理制度の改革は、輸入支払照合管理制度の改革が2010年5月から天津市、山東省、江蘇省など一部地域で試行されたことに始まる。実施地域は同年12月に全国に拡大した。輸出に関しては、2011年12月から江蘇省、山東省、湖北省、浙江省(寧波市含まず)、福建省(アモイ市含まず)、大連市、青島市の一部地域で輸出外貨受取管理制度の改革がスタート。今回の公告により、取引ごとに行われていた貨物貿易の外貨受け取り・支払いの照合手続きは廃止され、輸出入ともに新たな貨物貿易外貨管理制度が確立された。

 新制度は、企業をA、B、Cに分類し、企業の外貨収支に対するオフサイト総量照合検査およびオンサイト照合検査などの方法に基づき、輸出と輸入の外貨管理を一本化しているのが特徴(注)。

規定の順守状況などで企業を3つに分け管理
 外貨管理局は企業を、貿易外貨管理規定の順守状況、貿易における貨物の流れと資金の流れの一致性などに基づき、企業をA、B、Cの3つに分類する。

 A類企業は、輸入外貨支払いを行う場合、輸入貨物通関申告書、輸入契約書、領収書(発票)など取引の真実性を証明できるいずれかの証票を基に、銀行で直接外貨支払いを申請することができる。また輸出外貨受け取りに際しては、オンサイトでの照合審査が不要となり、銀行での外貨出入金の手続きも簡素化されるなど、貿易外貨の支払い・受け取りに関する手続き面の利便性が大幅に向上する。

 一方、B、C類企業に対しては、証明書類の審査照合、業務類型、決済方式などの面で厳格な監督・管理を実施する。B類企業には金融機関が電子データ照合審査を実施し、C類企業については、全ての外貨収支関連業務を事前に外貨管理局へ登記しなければならず、金融機関は外貨管理局が発給する登記証明に基づき、手続きをしなければならない。

貨物貿易外貨モニタリングシステムがスタート
 2012年8月1日からの公告の実施に伴い、全国で貨物貿易外貨モニタリングシステムがスタートする。外貨管理局は、このモニタリングシステムを通じて毎月各企業の資金の流れと貨物の流れのオフサイト総量照合検査を実施する。オフサイト照合検査の対象となるデータには、企業の直近12ヵ月の外貨収支と貨物輸出入データが含まれる。この検査で問題があった企業に対しては、オンサイトでの照合検査を行う。

 なお、企業は対外貿易経営権を取得した後、関係書類を外貨管理局に持参し、「貿易外貨収支企業リスト」への登記手続きを行う必要がある。既に対外貿易経営権を有している企業は登録の必要はないが、保税監督管理区内の企業は「貨物貿易外貨収支業務取扱確認書」に署名の上、外貨管理局に提出しなければならない。外貨管理局は提出期限につき明確な発表はしていないが、同確認書はリスト登記に不可欠な書類となることから、該当企業は早めの対応が必要とみられる。

輸出増値税還付の申請手続きも簡素化
 同モニタリングシステムがスタートすることにより、国家外貨管理局と海関総署とで貨物貿易にかかわる情報が共有される。

 輸出通関手続きを行う際、紙ベースの輸出外貨受取照合書の提出(輸出外貨受け取りの照合手続き)が不要となり、これにより輸出企業が輸出増値税還付を申請する際も、紙ベースの輸出外貨受取照合書を提出する必要がなくなる。税務局は外貨管理局が提供する輸出代金の外貨入金情報に基づき、還付審査・手続きを行う。

 これまで在中国日系企業からは、輸入外貨支払いに際し、輸入貨物通関申告書、輸入契約書、入金証明など、求められる書類が非常に多いことに対して改善要望が寄せられていたが、今後特にA類企業については、貨物貿易の外貨受け取り・支払いに関する手続きが大幅に簡素化される。

資金・物流の一致性の管理を強化
 一方、企業の輸出入にかかる資金の流れと、貨物の流れの一致性については管理が強化された。企業は以下の1つでも該当する業務がある場合、貨物輸出入あるいは外貨の受払業務の実際の発生日から起算して30日以内に、モニタリングシステムを経由して所在地の外貨管理局に対し、外貨の受払予定日あるいは輸出入の予定日などの情報を報告しなければならない。

(1)30日超の前受け、前払い
(2)90日超のユーザンス回収、延払い
(3)90日超のユーザンス信用状(L/C、信用状の期日延長含む)、海外での立て替え払いなどの輸入貿易金融
(4)B、C類企業の前受け、前払いおよび30日を超えるユーザンス回収、延払い
(5)同一契約における中継貿易の受け取り。支払日の期間が90日超、かつ「先収後支」(資金受け取り後に支払い)、または「先支後収」(資金支払い後に受け取り)方式での外貨支払金額が50万ドル超相当の業務

 なお、報告済みであるものの予定した輸出入期日あるいは外貨受払期日に至っていない上述業務に関しては、企業は実情に基づき関連報告内容を調整することができる。

(注)公告の詳細は国家外貨管理局のウェブサイト「貨物貿易外貨管理手引」、「貨物貿易外貨管理手引実施細則」を参照。