1.銀行間外貨取引市場は、以下の特徴を持っている。
(1)会員制。外貨業務を経営する金融機関およびその支店は、申請と許可を経て中国外貨取引センターの会員となり、取引に参加できる。また、『非金融企業とノンバンクの銀行間当期外貨市場会員資格申請の実施細則(暫定)』(2005年12月29日から施行)により、許可を得て非金融企業とノンバンクも銀行間当期外貨市場の会員として、取引に参加することができる。
(2)市場化の為替レート。外貨取引は中国外貨取引センターのコンピューター取引システムを介して行われる。価格優先、注文時間優先の原則で、売買取引が交わされる。為替レートは基本的に市場メカニズムで決められ、管理される変動相場制を採用している。
(3)取引の種類。中国外貨取引センターでは、人民元と米ドル・香港ドル・日本円・ユーロの取引、米ドルと香港ドル・日本円・英ポンド・スイスフラン・オーストラリアドル・カナダドル・ユーロの取引およびユーロと日本円の取引が行われる。
(4)中央銀行の外貨平衡操作。為替レートを安定させるために、中国人民銀行は、中国外貨取引センターで外貨を売買し、需給を調整する。
(5) 2005年7月21日から従来の米ドル単一通貨へのペッグ制をやめ、通貨バスケット制に移行する。
(6) 人民銀行は各営業日の市場取引終了後、当日の銀行間外国為替市場で米ドルなど各通貨の対人民元為替レートの終値を発表し、次営業日の対人民元の取引の仲値とする(当日の人民元対ドル加重平均価格を採用)。また、2006年1月4日より、人民銀行の許可を得て、中国外貨取引センターは各営業日の午前9時15分に、米ドル、ユーロ、円、香港ドルの対人民元為替レートの仲値を発表し、当日の銀行間当期外貨市場と店頭取引の仲値とする。
(7)銀行間為替市場における米ドルの対人民元の取引価格の変動幅は、人民銀行が発表する米ドルの取引の仲値の上下1%以内とする。米ドル以外の通貨の対人民元の取引価格の変動幅は、人民銀行が発表する同通貨の取引の仲値に対する規定の比率(3%)内とする。
(8)銀行間外貨市場では、マーケットメイク制度を導入し、2006年1月1日から、リアルタイムの引き合い取引方式を実行する。銀行間市場の取引主体は、集中与信、集中競合方式を選択できるし、2者間の与信、決済の取引方式も自主的に選択でき、中国人民銀行が規定した銀行間市場取引為替相場の変動幅と「銀行間外貨市場人民元外貨リアルタイム取引規則」(2005年11月24日から実施)に基づき銀行間外貨市場で取引を行う。
(9)2006年1月4日より、銀行間当期外貨市場では価格問合せ方式(OTC方式)を導入した。
2.銀行・顧客間のリテール市場は、以下の特徴を持っている。
(1)管理される為替レート。中国人民銀行は毎日、中国外貨取引センターの取引貨幣(米ドル、香港ドル、日本円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、オーストラリアドル、カナダドル)の取引仲値(買入価格と売出の平均値)を公布する。また、国際外貨市場の相場を参考にして、人民元と主要外貨の為替レートを発表する。これらの為替レートは、外貨取引の基準為替レートとなる。
(2)管理される変動範囲。外貨指定銀行は、顧客と米ドルのリテール取引を行う際、基準為替レートを基に上下一定の変動幅で各自の為替レートを決めることができる。ドルの現金為替レートと送金為替レートの売出・買取スプリットは異なる。送金為替レートのスプリットは、人民銀行が発表した米ドル取引仲値の1%以内とされる。現金為替レートのスプリットは、送金取引仲値の4%以内とされる。米ドル以外の外国為替レートのスプリットに関する規制が撤廃され、外貨指定銀行は米ドル以外の外貨為替レートを自主的に決めることができる。