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消費者対応

 

  中国市場の拡大や消費者の権利意識の高まりに伴い、製造物責任(PL)や消費者権利保護の問題が拡大傾向にある。2010年、中国消費者協会が受理した消費者からのクレームは666,255件に上り、日本企業を相手取った訴訟も発生している。毎年、国際消費者権益保護デーの3月15日はマスコミを挙げて企業=悪、消費者=善の構造でキャンペーンが張られ、槍玉に上がった企業は中傷のターゲットとなる。また、中国のメディアの特徴として許可なく記事の転載が広がることから、小さな問題に見えたことが瞬く間に全国規模に大反響を呼び起こし、小売店での製品撤去など不買運動にもつながるリスクがある。特に、日本企業とその製品は日本に対する中国人の民族感情や品質への高い期待からクレームや訴訟の対象となり、かつ、その際にマスコミに取り上げられやすく、消費者や社会全体から会社や商品といったブランドへの信頼を失うレピュテーションリスクが高い。

 

 「製品品質法」や「消費者権益保護法」に加え、10年7月には「権利侵害責任法」が施行し、罰則で賠償責任が重くなるなど注意点が増えている。今回ヒアリングした企業や弁護士事務所などの中でも、中国でのオペレーションリスクとしてPLを挙げる企業が多かった。企業や弁護士事務所、コンサルティング会社などの専門家の方から伺った、具体的なPL問題への対策や留意点は次の通りである。

 

(1)事前の対応策

 

①初期対応の徹底

      ・中国国内の全てのメディア(テレビ、ラジオ、新聞、インターネットなど)について、当社の記事がないかウォッチしてもらっている。加えて、インターネットに掲載されたネガティブ情報に対して、ポジティブな情報を出していくなどの対策も採っている。

  

      ・一度記事になるとネット上などですぐに広まってしまうのでクレームが出た際の対応に気をつけている。クレーム対応を一本化するため専門窓口を設けている。

 

②制度情報収集

      ・制度を守っていないとの指摘を回避すべく、制度情報は幅広くウォッチすることが大事。

 

③正確な商品説明

      ・不良品を作らない。消費者が使用方法を間違わないようにする。

      ・中国は消費者の声の力が強い。新製品についてはお実様への説明不足が品質問題化する恐れがある。顧実への啓蒙活動やきめ細やかな商品説明によりメーカー側も手探りで対応している。

      ・中国で販売する際に説明書の説明不足、翻訳ミスなどが起こっており、こうした問題に対する意識が弱い。

 

④模倣品対策

      ・模倣品はブランドへのダメージが大きいため、費用をかけながら徹底的に対策をとっている。公安などともタイアップし、工場や販売倉庫、店舗の摘発を行っている。

 

⑤マスコミとの関係構築

      ・マスメディアとの交流はかなり頻繁に行っている。例えば、中国メディアからのインタビュー依頼には、トップが対応するようアレンジしている。また、イベント開催時には招待するほか、年末や春節などの機会に懇親会も開催している。

 

⑥良き企業市民としてのイメージ醸成

      ・良き企業市民として認められることが必要。日々のオペレーションを行う中で構築される人間関係は非常に大事になる。

      ・日本の会社も現地社会で社会貢献活動をしているがなかなか表に出てこない。他の外資系企業などは、派手にやって贈呈式などもアレンジしている。日本企業も現地にわかるように地域社会に貢献していることをPRすべきである。

 

⑦取引先・代理店への対応

      ・他社から供給された部品に問題があり、当社のみならず他社製品にも不具合が発生したことがありメディアで取り上げられた。

      ・日本企業は代理店を通じて販売しているケースが多く、第2次、第3次代理店までコントロールできていないこともある。消費者からどのような話が舞い込み、市場でどのようなことが起こっているのかきちんと報告させるような仕組みを構築するべきである。

 

(2)トラブル発生時の対応

 

      ・対応策は、故障があったらすぐに対応して修理すること。

      ・品質問題が発生したら、マスコミ、政府、消費者に対してどう対応するか考えておくべきである。欧米企業は消費者問題の予算を組んで組織的に対応するようにしているが、日系企業は問題が起きてから対応する。対応の遅さから訴訟を起こされたケースもなくない。

 

 この他、対策としては、PL保険の付保や、弁護士等の専門家の協力を得ることなどが挙げられる。