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通貨バスケット制への移行

 

 2005年7月の通貨バスケット制移行後、人民元は対ドルで、規則的ともいえる上昇カーブを描いた。上昇は3年に及び、その間「元は上昇するもの」との見方が浸透していった。それだけでなく、当初2.25%あった1年物の人民元定期預金金利も上昇していった。このため世界が元の保有を望んだ。結果としてホットマネー(短期投機資金)が中国に流入し元に交換され、中国景気は過剰流動性で過熱した。世界の対中投資は200406年にかけ600億ドル程度で足踏みしたが、その後急拡大に転じ、08年には900億ドルを突破した。元の対ドルレートが上昇カーブを描き続ける陰で、対円レートの方向感は見えなかった。日本の対中投資は、自動車のセットメーカーとサプライヤーが広州に出そろうこととなった05年をピークに減少していった。 

 

 06年3月に発表された11・5規画は、経済の量よりも質を重視する姿勢を打ち出した。外資導入についても、技術やノウハウの獲得を重視する「外資利用における質の向上」を打ち出した。対外開放という基本路線に変化はないものの、外資導入における金額の重要性は低下したかに見えた。

 

 しかし人民元レートの上昇カーブと歩調を合わせるかのように、外資の流入は加速した。それが中国で人民元となり、国内は流動性過剰の状態となった。過剰流動性は経済の質の向上よりも、量的拡大を後押しする形となった。中国政府は、景気引き締めはもちろんのこと、貿易黒字拡大の原因である加工貿易に対する優遇の見直し、外資優遇の見直し・選択的導入、対外投資の拡大を通じ、外貨の有効利用に注力することになった。08年7月には、人民元レートの上昇が止んだ。