中国経済の現況
21世紀最初の年である2001年、中国の国内総生産(GDP)は日本の3分の1に過ぎなかった。その年の終わり、中国は漸く世界貿易機関(WTO)に加盟し、世界の貿易ルールへの適応を始めた。その頃の日本経済は目立った拡大がみられず、GDP規模は97年の515兆円が最高という状態が続いており、05年には人口減少が始まった。
中国では03年から2ケタ成長が続いていた。08年には四川大地震に見舞われたが北京のオリンピックは無事開催された。世界的金融危機の影響で2ケタ成長は途絶えたものの、危機からの脱却は文字通りのV字回復であった。そして10年、3年ぶりに2ケタ成長に復帰するとともに、GDP規模で日本を抜き世界第2位となった。
しかし、沿海部とその他地域、都市と農村、工業と農業の発展格差の問題は未解決のままといえた。世界有数の黒字国となったことで欧 米諸国との貿易摩擦問題も深刻化した。経済発展の結果として出現した大量生産・大量消費型社会により、公害問題、水不足、資源安全保障上の懸念は増大した。 過剰流動性供給で資産バブルが起き、2010年に入ると、不動産価格とインフレへの対応が経済面の重要課題に浮上していた。
11年に始動した第12次五カ年規画では、年平均成長率の目標が11・5規画の7.5%から7.0%に引き下げられた。11・5規画同様、成長率はノルマ(拘束性目標)ではなく目安(所期性目標)に過ぎない。10年の成長率は10.3%であり、11年の目標8%は全くといってよいほど難しい目標に見えない。見方を変えれば、11・5規画の新機軸であった成長の質の向上は途半ば、あるいは緒に就いたばかりであり、12・5規画においても最重要課題として引き継がれている。