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所得向上の中で高度化する中国市場

 

 経済成長に伴う賃金上昇を背景に、中国の個人所得は急速に増加している。都市住民1人当たりの可処分所得は05年の1万493元から10年は1万9,109元と1.8倍に増加。この間の伸び率は年平均で9.7%に達した。農村住民の1人当たりの純収入も同期間に3,255元から5,919元と1.8倍に増加。この間の伸び率は年平均8.9%に達した。

  

 こうした所得の向上を背景に、中国市場に「高度化」という新たな流れが顕在化しつつある。そのキーワードは「クオリティー(優れた品質)」、「セーフティ(安全・安心)」、「エコロジー(環境にやさしい)」である。

 

 クオリティーを求める動きとしては、キヤノンでは、デジタル一眼レフカメラの入門機の売上が伸びている。デジタルカメラの購入者は、最初はコンパクトカメラを買うことが多いが、 中国ではいきなりデジタル一眼レフを求める層が増えている。

 

  また、グンゼが中国で販売しているレッグ商品の約8割は日本で生産して輸出しているため価格が高く、パンティストッキングでは100400元もするものの、百貨店を中心に売れ行きは好調である。

 

 豊田通商は2010年、中国の敬老の日である10 10 日に四川省成都市のイトーヨーカドーで介護福祉製品のテスト販売キャンペーンを施したところ、中国メーカーの製品より高額でありながら、日本の品質が評価され売れ行きは好調だった。

  

  良品計画の2010年度第3四半期連結会計期間(3~11月)における中国直営店の売上高は、前年同期比2倍超となった。同社の商品コンセプトは「シンプル」、「質素」であるが、そのターゲットとなる「価格合理性と品質の良さを理解でき、教育レベルが高い層」が中国でも着に増加している。

  

 セーフティを求める動きとしては、中国でも日本の高度なセキュリティサービスに対するニーズが高まっており、セコムでは現在、契約の9割以上が中国企業となっており、日本企業および外資系企業の契約件数を大幅に上回っているという。

 

  ファンケルは、中国で販売する化粧品は全て日本製で、現地での販売価格は日本の1.5倍程度ながら無添加化粧品に対するニーズは高く売上は好調である。また、同社の銀座スクエアでは、来店実の約6割が中国人で、中国で販売していない商品を大量に購入しており、購入単価は日本人の約3倍にも達するという。

 

 エコロジーを求める動きとしては、TOTOは、節水技術を盛り込んだ衛生陶器の販売が好調だ。現在、同社製品の洗浄水量は4.8リットル(従来は10リットル)という超節水型であり、環境配慮型の製品投入によりブランド認知度も向上している。

  

  ブリヂストンは、低燃費タイヤ「ECOPIA」の販売が好調だ。自動車を所有している層に対し「低燃費タイヤ=省エネ=ガソリン代の節約につながる」というロジックがわかりやすかったという側面もある。

 

 市場の高度化を背景に、中国では品質に優れ、安全・安心で、環境に優しい商品が売れ筋商品となりつつあることは日本企業にとって商機となり得る。加えて、日本製品のコス トパフォーマンスの良さも強みとなる。中国市場に出回る商品は「高価で良いもの」か「安価でそれなりのもの」に二極化しているが、日本企業がデフレ経済下で生み出してきた「安価で良質なもの」に対して価格に敏感な中国の消費者のニーズが高まることも予想される