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最大の課題は賃金上昇

 中国に進出している日系企業の経営上の問題点をみると、最大の問題は「従業員の賃金上昇」となっており、09年度の調査結果から16.9ポイント増加した。次に、「競合相手の台頭(コスト面で競合)」、「調達コストの上昇」が続き、賃金や調達コストが上昇する一方で、価格競争も厳しく、厳しい環境で市場開拓が行われていることがわかる。

 

(1)販売・営業面での問題点

 販売・営業面の問題点について複数回答で尋ねたところ、「競合相手の台頭(コスト面で競合)」(57.5%)が最も多くあげられた。次いで「主要取引先からの値下げ要請」(44.1%)、「新規顧実の開拓が進まない」(36.9%)となっており、これら上位3項目は前年度調査結果と同様である。

 

 前年度調査結果と異なる点としては、「取引先からの発注量の減」、「主要販売市場の低迷」、「本社からの発注量の減」が前回より大きく減している点が特筆される。

 

 

2)財務・金融・為替面での問題点

財務・金融・為替面の問題点について複数回答で尋ねたところ、「税務(法人税、移転価格課税など)の負担」が最も多く30.8%であるが、前年度調査結果(38.8%)よりやや減している。次いで「現地通貨の対円為替レートの変動」(30.7%)、「現地通貨の対ドル為替レートの変動」(27.5%)、「円の対ドル為替レートの変動」(25.2%)と続いている。

また、15.1%の企業は「特に問題はない」と回答している。

 

(3)雇用・労働面での問題点

雇用・労働面の問題点について複数回答で尋ねたところ「従業員の賃金上昇」(79.6%)が最も多く、前年度調査結果より16.9ポイント上昇している。次いで「従業員の質」(48.4%)、「人材(一般ワーカー)の採用難(製造業のみ)」(42.7%)、「従業員の定着率」(37.3%)と続いている。これら上位項目は前年度調査より増加しているが(「従業員の質」を除く)、「管理職・現場責任者の現地化が困難」、「解雇・人員削減に対する規制」は前年より10ポイント以上減少している。

 

経営上の最大の課題である賃金上昇を製造業のベースアップ率で見てみると、製造業では、広東省中山市や遼寧省大連市など加工貿易基地として発展してきた沿海部の都市では20%を超える引き上げ率となっている。

  

加えて、雇用・労働面での問題点として、「人材(一般ワーカー)の採用難」を挙げる企業が42.7%にのぼることからわかるように、沿海部を中心に出稼ぎ労働者の不足も深刻化しつつある。低コストで豊富な労働力を確保できるという中国の投資環境面での比較優位性は低下しつつあり、現地の労働力をいかに安定的に確保するか、という課題への対応に迫られているともいえる。

 

(4)貿易制度面での問題点

貿易制度面の問題点について複数回答で尋ねたところ、「通関等諸手続きが煩雑」(41.0%)、「通関に時間を要する」(33.5%)、「通達・規則内容の周知徹底が不十分」(28.5%)と続いている。また、「特に問題はない」との回答が26.8%あった。前年度調査と比較すると各項目の順位は同じであるが、全体的に減少している。

 

(5)生産面での問題点

製造業の企業に対し、生産面の問題点について複数回答で尋ねたところ「調達コストの上昇」が55.9%で最も多く、前年度調査結果を19.6ポイント上回った。次いで「品質管理の難しさ」(43.3%)と「原材料・部品の現地調達の難しさ」(43.1%)、「限界に近づきつつあるコスト削減」(42.7%)が上位に続いている。

前年度調査と比較すると、「電力不足・停電」をあげた企業の割合が26.1ポイント増加している。

 

 

(6)経営の現地化を進めるに当たっての問題点

経営の現地化を進めるに当たっての問題点を複数回答で尋ねたところ、「現地人材の育成が進まない」(44.0%)が最も多かったが、前年度調査結果と比較すると26.6ポイント減している。次いで「幹部候補人材の採用難」(42.0%)、「現地人材の能力・意識の低さ」(39.6%)と続いている。